令和７年１１月法話 合掌する手は阿弥陀さまのおはたらき
皆さんも行かれたことがあると思いますが、京都東山には、三十三間堂があり、千手観音がまつられています。
千手というように手が無数にあるということです。私たちにも「あの手この手奥の手」等様々な手を持っていま
す。千手観音も多くの手にいろいろなものを持っていますが、数多くの手のなかで、変わらぬ手がたったひとつ
だけあります。それは胸の前で合掌する手であります。合掌する手は、合わす手とそえる手であります。この
中心にある合掌する手がなければ、私の人生が崩れだすに違いありません。ある先生の著書にこういう話が書い
てありました。ある少年刑務所では、職業訓練として理容師の養成をしているのです。この少年達のほとんどは、
殺人、傷害、強盗といった、刃物を使って人生をつまずいた方ばかりなのです。理容師の養成とは、その少年達
の手に剃刀（かみそり）を持たすことなのです。そうすると、たいていの少年は、「刃物は、もうこりごりです。
こんな危ないものはおそろしくて持てません」と言うのです。こうなったらしめたものです。なぜなら、今まで
刃物が怖くなかったから、人に傷害を与える罪を犯したのです。それがこわくなったとき、正常になったという
ことなのです。その手も元はと言えば合掌する手があったからなのです。宗祖親鸞聖人は、和讃の中で
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十方微塵世界の 念仏の衆生をみそなわし
摂取してすてざれば 阿弥陀となづけたてまつる（浄土和讃）
(浄土和讃 浄土真宗聖典註釈版 ５７１ページ)
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とおっしゃったように合わす手がこの私とするならば、どうしようもない煩悩具足のこの私をすでに見抜いて
だからこそ見捨てずにおけない救わずにおれないとお慈悲のお心で寄り添ってそえて下さるのが阿弥陀さまの
手なのです。合掌する手は阿弥陀さまのおはたらきそのものです。その阿弥陀さまのおはたらきに手を合わせ、
阿弥陀さまの御恩に朋にありがとうざいます、おかげさまですと感謝のお念仏を申させて頂きながら日暮らし
を致しましょう。