令和５年 ９月法話 心ここにあらずの私を阿弥陀様は、みぬいているのです
7月〜8月にかけて約一ヶ月間ご門徒のお盆参りをしました。7月の時は、良かったのですが8月に入ると、今年に限らず、気になることがあります。それは、全国高校野球です。
私の所は、北海道なので、特に気になるのが、北と南北海道の代表校です。しかも今年は、地元が代表校になりました。８月ある門徒さんの家に行き、そこは、新しいご門徒さ
んで、最近お仏壇を購入し、阿弥陀様の入仏式も終えたばかりでした。おじいさん、おばあさんだけでなく、子供、孫たちも休みで、きていました。お仏壇の向かって左側手前
にお仏壇よりはるかに大きなテレビがあり、ちょうど、北海道と対戦になったところでした。私は、お仏壇の前に座り、新しいお仏壇のろうそくに火を灯し、お経の本を配り、おつ
とめを始めました。ところが、私以外のお経の声が聞こえてきません。【ま、初めてだし、しかたないか】と思いながら私の声だけで、おつとめをしました。しばらくして
ふとお仏壇を見上げると新しいお仏壇なので、まるで鏡のようなお仏壇で、横の扉を見ますと後ろにお参りしているご門徒さんの姿が見えていました。あれ？体は、お仏壇を向い
ているのに顔は、一斉に左側を向いていました。そのうち小さな声で誰かが「あ、やった！ヒットだ。タイムリーだ！」と聞こえてきました。皆さんも喜んでいる顔が映っていました。
「心ここにあらず」仏さまに心が向くどころか野球にとらわれているのです。しかし、そのご門徒さんを見ながら、お経をとなえながら、その姿と野球のことにとらわれているこの
私がいるのです。心ここにあらずの私を阿弥陀様は、みぬいているのです。ご開山親鸞聖人の ご和讃（正像末和讃）の中に
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如来の作願（さがん）をたづぬれば 苦悩の有情（うじょう）を捨てずして
回向（えこう）を首（しゅ＝第１）としたまひて 大悲心をば成就せり
（正像末和讃 浄土真宗本願寺派聖典６０６ページ）
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とありますように阿弥陀さまの願いは、 煩悩の闇のなかで様々な事にとらわれ苦しみ悩むこの「私」を捨てておけない、放っておけない、救わずにおれないと 阿弥陀さまの方から
立ち上がって 慈悲のお心で呼び覚まして下さっている阿弥陀さまの本来の願いが、南無阿弥陀仏の六字の名号となって、至り届き今ここで私にはたらいて下さっているのです。
そのご恩
に朋に感謝のお念仏を申させていただきながら この人生を強く明るく生き抜かせていただきましょう。合掌