令和５年 ７月法話 阿弥陀さまといつも二人連れ
今年５月長野県で、散歩している2人の女性をナイフで刺し、かけつけた警察官２人も
猟銃で撃たれ４人の命を奪われる恐ろしい事件がおきました。容疑者の父は市議会議長
であり、母はフラワーアーティストで知られる地元の名家の息子でありました。学生時代
のある作文で、《この世で最も大切なのは「命」だと思います》とまで書き残していたそ
うです。命が大切だと言った容疑者が、いったい、なぜ人の命を奪う事件を起こしたので
しょうか？容疑者は友人もほとんどなく、コミュニケーションが苦手だったということです。
そして容疑者は、「“ぼっち（独りぼっち）”と毎日散歩をされていた女性に悪口を言われ
ていると思いこんで」犯行に及んだということです。この事件を知った時、これは、もはや
他人事ではありません。今までそういう縁が「この私」になかったから行わなかったからで、
もしこれが「この私」に行われていたとするとご開山親鸞聖人のお言葉にありますように
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『さるべき業縁のもよおさばいかなるふるまいもすべし』
(歎異抄第１３条 浄土真宗聖典註釈版８４４ページ)
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と言われました。縁によっては、恐ろしいことをもしかねない人の命を殺しかねない私の
悪性本性なのです。そのことを「仏かねてしろしめして」と
阿弥陀さまは、煩悩具足のこの私をすでに見ぬいてだからこそ救わずにおれないと決して独り
ぼっちではない、阿弥陀さまといつも二人づれと今ここでこの私にお慈悲のお心で、働き詰め
に働いて下さっていることに朋に感謝のお念仏を申しながら日暮らし致しましょう。