令和４年 ６月
阿弥陀さまは、ここから遠くないところにいらっしゃる
本願寺第八代の蓮如上人と臨済宗の一休禅師は、以前にもお話したことがありますが、
親交があり、いろいろな説話が残っています。その中で今回は、こういう歌のやりとりを行
ったという話があります。あるとき一休禅師が
■■極楽は十万億土と説くならば 足腰立たぬ婆は行けまじ■■
という歌を蓮如上人に出しました。この歌は、阿弥陀さまの極楽浄土が十万億仏土を超
えた遠い世界であるならば、足腰の弱い老人では、とてもたどりつくことができないでは
ないでしょうかという問いです。つまり阿弥陀さまのお浄土は、私たちの自力では、行くこ
とができない世界ではということです。これを受けた蓮如上人は
■■極楽は十万億土と説くなれど 近道すれば南無のひと声■■
と歌われました。凡夫の力では絶対に往くことのできない遠い世界だからこそ、阿弥陀さ
まの方から「我にまかせよ」と南無阿弥陀仏のお念仏となって私のところに至り届いてく
ださるというのです。まさにひと声お念仏を申せば、阿弥陀さまが私と共に居てくださる
ことを改めて知らされます。また『仏説観無量寿経』には、
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そのとき世尊、韋提希に告げたまはく、「なんぢ、いま知れりやいなや、
阿弥陀仏、ここを去ること遠からず。・・・・
(仏説観無量寿経 浄土真宗聖典註釈版９１ページ)
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そこでお釈迦さまは、韋提希夫人(いだいけぶにん) に「あなたは知っているでしょうか。
阿弥陀さまは、ここから遠くないところにいらっしゃるのです。」と仰せになりました。と
あるように、煩悩熾盛で苦悩する私をすでに見ぬいてだからこそお慈悲のお心で見捨
てずにおけない救わずにおれないと今ここで阿弥陀如来のほうから来てくださっている
のです。そのおはたらきにご恩報謝のお念仏を朋に申しながら日暮らし致しましょう。