昨年、アニメ映画で爆発的なヒットした鬼滅の刃(きめつのやいば)。主人公は炭治郎（たんじろう）
という男の子です。鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)というボス鬼が鬼を増やし、その鬼たちに
妹ねずこ以外の家族を殺され、妹ねずこも鬼にされ、妹や人々を救うため鬼殺隊の１人として
鬼と戦うストーリーです。いろいろな鬼が登場します。その中に もともとは、人間として作家を
めざしていたある男が師匠から、「まったく つまらない。この原稿は、ゴミなんだよ」と言われ、
原稿を踏みにじられ認めらなかったことにどうしようもなく腹が立ち、今度はボス鬼から鬼に
され鬼として認められるため上を目指して人を襲いますが、炭治郎との戦いに敗れて、鬼は
問うのです。「俺の技はどうだったか？」「すごかった。でも人を殺したことは許さない」と言わ
れ鬼は涙を流しながら消えていくのです。このアニメをみながら、思いました。ボスである
根本煩悩をかかえた鬼はこの私です。そして、鬼と化した妹が鬼でありながら、口に当てら
れた竹によって鬼であることを気づかされ兄炭治郎を助け鬼と戦うのです。まさに煩悩の
鬼の身でありながら、竹同様にお念仏によって私自身の鬼の姿に気づかされていくようで
ありました。ご開山親鸞聖人は、
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凡夫というは無明煩悩我らが身にみちみちて欲も多くいかり
腹立ちそねみねたむ心多くひまなくして 臨終の一念にいたるまで
とどまらず きえずたえず・・
（一念多念文意、註釈版６９３ページ）
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欲も多く貪りと怒り腹立ちと愚痴でこの身いっぱいに、臨終に至るまでとどまらない消えない
絶えない煩悩でみちあふれている鬼こそ、この私なのですと言われました。この鬼の私を
阿弥陀さまは、《仏かねてしろしめして》とすでに見抜かれて、だからこそ見捨てずにおけ
ない救わずにおれないと大悲のお心でいつでもどこでも今ここにでも呼びかけ、はたらき
かけくださっているのです。その阿弥陀さまのおはたらきにご恩報謝のお念仏を申させて
いただきながら朋に日暮らしをさせていただきましょう。