先月(８月)６日広島原爆、９日長崎原爆にあわせて教證寺でも梵鐘をつきました。以前、
新聞のコラムの中にこういう話がありました。広島のある中学生の祖父が孫が家を出る時、
「行って帰り」と口にするそうです。孫に限らず、家族が出かける時には、必ずそう言って
送り出すということです。「行ってらっしゃい」ではないですかと尋ねるとその祖父は次の様
に答えました。「元気に家を出て行っても、帰ってこんのじゃあ意味ないけえの。また帰る
ってゆう約束をしよるんよ」と言われました。広島に原爆が落ちた時、自分の姉が、その
まま家に帰ってこなかった経験が祖父にはあるからなのです。今生においては、いったん
家を出て行ったからといって、必ず帰るとは補償できないのです。いくだけではない
〈かえる〉ということで「正信念仏偈」の中に
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往還回向由他力
往(ゆ)くも還(かえ)るも他力ぞと(和訳正信偈)
(教行信証 行巻 浄土真宗聖典註釈版２０６ページ)
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とあります。これは、親鸞聖人が仰がれた七高僧の中の曇鸞大師(どんらんだいし)の
教えを称えられた言葉です。仏教は、私たちがお浄土に往くことだけでなくて、成仏
(仏となって)今度は、迷える私たちを救うために必ず還(かえ)ってきてくださるのは、
すべて阿弥陀さまの おはたらき、本願力なのです。何もかもこの私一人がためであり
ましたと 阿弥陀さまのご恩に朋に感謝のお念仏を申しながら日暮らし致しましょう。