年末年始は、実家に帰郷されて家で年越しという方、あるいは昨年も多くの災害がありましたが、
被災された方々は、我が家がないという方もいらっしゃると思います。さて、お経の中にも家につい
ての譬え話があります。法華経というお経にこういうお話があります。燃えさかる家の中で、子ども
たちが、生命の危険が迫っているにもかかわらず夢中になって遊んでいました。父親は、子ども
たちに「早く出なさい」と言いましたが、全然耳をかそうとはしません。そこで子どもに対して「門の
外に羊・鹿・牛の車があるから外に出ればそれを与えよう」と言うと、子どもたちは、それに従って
外に出て助かりましたというお話です。これは、人間の住む世界がまさに燃えさかる家であると
いうことです。危険が迫っているにもかかわらず、それに気づかず生きている私たちという譬え
話です。「燃えさかる家」ということで、ご開山親鸞聖人は、「歎異抄」の中で
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火宅無常の世界は、よろづのこと、みなもってそらごとたはごと、
まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておはします
(歎異抄後序 浄土真宗聖典註釈版 ８５３ページ)
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『この世は燃えさかる家のようにたちまちに移り変わる世界であって、すべてはむなしくいつわりで、
真実といえるものは何一つありません。その中にあって、ただ念仏だけが真実なのです』と言われ
ました。阿弥陀さまは、いつでもどこでも今ここにでも煩悩をこの身いっぱいにかかえた虚仮不実
の私を救わんがためにはたらき詰めにはたらいてくださっているそのご恩に朋に感謝のお念仏を
申しながら今年も日暮らしいたしましょう。