「女心と秋の空」ということわざがあります。もともとは、「男心と秋の空」でしたが、
女性の地位向上とともにできたことわざです。女性、男性いずれにしても心は、
秋の空のようにこころコロコロと変わりやすいものであるということです。こんな話
があります。あるおじいさんとおばあさんのところに甥の与太さんがきました。
しかしいつもお金を借りにきて返さないので、おじいさんは、おばあさんに「戸を
開けないで、ほおっておきなさい」と言いました。おばあさんも「ほんとにね。
お菓子箱のひとつでも持ってくればまだ可愛げもあるのにね」と言いました。
すると外にいる与太さんが、「あ、早く開けてください。早くしないと、あ、こぼれる、
こぼれる」と言いました。それを聞いたおじいさんは「ばあさんや、与太がこぼれる
と言っている。きっと何かを持ってきたにちがいない。」「そうですね。おじいさん、
はいはい、今すぐ開けますよ」と言って戸を開けると外に与太さんが、何も持たず
立っていました。おじいさんは、「おい、与太。さっき、こぼれる、こぼれると言って
いたが、何ももっていないじゃないか」と聞くと与太さんはひとこと「はい、戸を開
けてくれないと、私の涙がこぼれます。」と言ったというお話です。たとえいやな
人でも何かくれるとなれば、手のひらをかえしたように「良い人」と思うのです。
まさに時と場所、自分の都合で、気持ち次第でこころコロコロと変わる私なのです。
しかし阿弥陀さまのご信心は、コロコロと変わることがない真実まことの心なの
です。ご開山親鸞聖人は、和讃の中で
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信心すなはち一心なり 一心すなはち金剛心
金剛心は菩提心 この心すなはち他力なり
(高僧和讃 浄土真宗聖典註釈版５８１ページ)
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「真実の信心は、すなわち一心です。一心は、決して壊れることのない心すなわち
金剛心なのです。金剛心は、さとりを求める心すなわち菩提心なのです。この心
が、そのまま阿弥陀仏のはたらきすなわち他力なのです。」と言われました。煩悩
熾盛でこころコロコロと変わり苦悩する私をすでに見抜いてだからこそ救わずに
おれないと阿弥陀さまのほうから、決して変わらないご信心を、今ここでこの私に
はたらいていたりとどけてくださるご恩に朋に感謝のお念仏を申しながら日暮らし
を致しましょう。