昨年(平成２９年)１２月、京都清水寺の森清範貫首が書かれた世相を
表す１字は｢北きた」という字でした。これは、｢北」朝鮮の弾道ミサ
イル、拉致被害者問題などということが理由でした。森貫首が言って
いましたが、この｢北」という字は、単に方角を表しているわけでは
なくて、相手に背中を向けて逃げる姿を表しているのだそうです。
だからこそ向き合う努力をして下さいということでした。七高僧の１人
中国の善導大師さまは、阿弥陀さまのお姿のことを こうおっしゃっ
ています。
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仏身円満にして背相(はいそう)なし
(浄土真宗聖典註釈版 七祖篇 ７５１ページ)
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阿弥陀さまに背相がないということは、阿弥陀さまの方からは、常に
正面から私に向けられているのです。しかしながらこの｢私」という
のは、阿弥陀さまを前にしたとき、阿弥陀さまに向くどころか、｢北」
の字のように背中を向けて逃げて苦悩している私なのです。ご開山
親鸞聖人は、ご和讃に
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如来の作願(さがん）をたづぬれば 苦悩の有情(うじょう）を捨てずして
回向(えこう）を首(しゅ＝第１）としたまひて 大悲心をば成就せり
(正像末和讃 浄土真宗聖典註釈版６０６ページ)
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とありますように 背中を向けて、あさましい自己中心の煩悩をかか
えて苦しみ悩むこの｢私」をだからこそ見捨てておけない、放って
おけない、救わずにおれないと 慈悲のお心で阿弥陀さまの方から
回向し(まわって向い)て背を向け逃げる私を救うために真実の世界
から｢きた」阿弥陀さまなのです。阿弥陀さまの本来の願いが、
南無阿弥陀仏の六字の名号となって、至り届き今ここで私に はたら
きづめに はたらいて下さっているのです。そのご恩に感謝のお念仏
を申させていただきながら 朋にこの人生を強く明るく生き抜かせて
いただきましょう。今年もどうぞよろしくお願い致します。合掌