平成２７年９月
本願力にあひぬれば むなしくすぐる人ぞなき
本願寺第八代の蓮如上人、あの有名な一休禅師は、同じ時代で、親交もあり、
二人に次のような話があります。あるとき、一休禅師より蓮如上人に一通の
手紙が届きました。手紙には「あれして、これして…」
《あれもしなければ、これもしなければとやることがたくさんあって とか
くこの世は忙しいですね》」と書かれてありました。これを読まれた蓮如上
人もさっそく返事を出されました。そこには、こう書かれていました。「食
て寝て 食て寝て…人は死ぬばかりなり」《食て寝てとは、単に食べて寝る
だけではありません。忙しい世の中で目前の楽しみや欲望に執着して悪を造
り愚痴を言いつつ、過ごしていくこと》で、そして死んでいくのでは、むな
しいことですねとのお二人のやりとりの手紙。平易な言葉で見事なまでに人
の真実の姿を表された言葉です。ご開山親鸞聖人は高僧和讃に
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□ 本願力にあひぬれば むなしくすぐる人ぞなき □
□ 功徳の宝海みちみちて 煩悩の濁水へだてなし □
□ （高僧和讃 註釈版５８０ページ） □ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
《阿弥陀さまのご本願に出あえば むなしく人生を過ぎるひとはいません。
六字の名号（みょうごう）の功徳がその身にみちみちて、煩悩の濁り水をも
同化して差別がなくなるのです》 とおっしゃっていますようにあれしてこれ
して忙しい世の中で食て寝て「自分自身」を見失い、むなしくさ迷い続けて
いる「この私」だからこそ慈悲のお心で、救わずにおれない、見捨てておけ
ない、ご本願を信じておくれよと阿弥陀さまのほうから今ここで私に働いて
くださっているのです。何があろうとも揺らぐことのない確かな拠り処の
阿弥陀さまのご本願を信じてその御恩に朋に感謝のお念仏を申させていただ
きながら日暮をさせていただきましょう。