平成２７年５月
摂取不捨の阿弥陀さま
讃岐（さぬき香川県）にお念仏をよろこぶ庄松（しょうま）さんという妙好人が、いらっ
しゃいました。あるときお坊さんが、庄松さんに「摂取不捨（せっしゅふしゃ）とは、どう
いう意味か？」と聞くと、庄松さんは、いきなり両手を広げて、お坊さんに向かって掴み掛
かりました。びっくりしたお坊さんは、逃げ出しましたが、とうとう追いついて捕まってし
まいました。庄松さんは「摂取不捨とはこれだ」と言ったそうです。ご開山親鸞聖人は、
「摂取不捨」について
《ひとたび取りて永く捨てず、ものの逃ぐるを追わえとるなり。摂はおさめとる、取は迎えとる》
と記されています。まさに逃げる私たちを阿弥陀さまは、追いかけて、ついに抱きとられるの
が摂取不捨なのです。親鸞聖人の ご和讃に
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
十方微塵世界（じっぽうみじんせかい）の 念仏の衆生をみそなわし
摂取して捨てざれば 阿弥陀と名づけたてまつる （浄土和讃）
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
とありますようにあらゆる世界に教えを信じて念仏するたくさんの人をごらんになって、おさめ
とって、決してお捨てにならずに、お浄土に往生成仏させてくださるかたを阿弥陀さまとお呼び
します。その阿弥陀さまのほうからいつでもどこでも今ここにでもこの私一人のために はたら
いてくださることに朋にありがとうございますとご恩報謝のお念仏を申させていただきながら日
暮らしいたしましょう。