平成２７年３月
私が仏さまになる
先日、本願寺新報で掲載されていた「つららの坊や」という童話の本を読みました。この作者は、
映画本木雅弘さん主役の「おくりびと」の原作となった「納棺夫日記」で知られる青木新門さん
です。こういうお話です。ある家の軒先に「つららの坊や」が生まれました。屋根にぶら下がる
毎日の中で、落ちる（死んでいく）ことを知るつららの坊やは《いやだ、ぼく死にたくない》
そしてお父さんたちも みんな死んでしまうと思うと涙がとまりませんでした。そこに目の前に
いたトチの木のおじいちゃんが、笑って「ハッハッ、心配しなくていいんだよ。おまえたちは
死なないのだよ。生まれ変わるだけさ。水になってくれるから、おかげで、みんなが生きて
いけるんだ」「へえー知らなかった。ぼくみんなのためになっているの？」「そうだ、だから
死ぬことは悲しいことではないんだ」「うん、わかった」やがてお父さん、お母さん、そして
お姉さんが先に落ちて（死んで）いきました。ひとぼっちになり、トチの木のおじいちゃんの
言葉を思い出しましたがやはり悲しくて涙はとまりませんでした。泣き疲れて夢を見ました。
それは光の中で、光につつまれてお父さんお母さんお姉さんもみんないて、にこにことほほえん
でつららの坊やを見ているのです。目が覚めると目の前にトチの木のおじいさんが、にこにこ
しながら見ていました。やがて涙がピカッと光ったそのとき、つららの坊やは、「トチの木の
おじいちゃん、ありがとう」と言って光の中に消えていきました。光はやさしくふりそそぎ春が
近いのか、あたたかでしたというお話です。つららの坊やが水に生まれ変わるように仏教という
のは、この私が仏さまの教えを聞き仏さまになる教えなのです。親鸞聖人のつくられたご和讃の
なかに
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安楽浄土にいたるひと 五濁悪世にかへりては
釈迦牟尼仏のごとくにて 利益衆生はきはもなし （浄土和讃）
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とありますように阿弥陀さまの浄土の世界に往生すれば、仏さまになり、仏として、この迷いの
世界にかえり 迷いのなかで苦しむ私たちをお釈迦様のように導いてくださるのです。それは、
すべてが阿弥陀さまのお手まわしなのです。無量寿無量光、いつでもどこでも今ここにでもこの
私のためにはたらいてくださる阿弥陀さまのご恩に朋に感謝のお念仏を申しながら日暮らしいた
しましょう。