平成２６年６月
偽になれない私が偽になる
お念仏をよろこばれた妙好人源左さんのお話です。源左さんのところにあるお同行が来て言いまし
た「私は偽同行で、寺に参れば阿弥陀さんの前にひざまずき、念仏よろこばせてもらうけど、家に
帰ってくるとすぐに忘れて、ただ煩悩をもやして、かけずりまわってしまうので、まったく私は偽
同行だ。」と胸の内を告白したのです。すると源左さんは「偽になったらもうええだ なかなか偽
になれんでのう」と言われたのです。自己中心の私が、なかなか自分の「偽にせ」に気づくもので
はありません。自分そのものが「にせ」であり、そのことに気づいたということは、すでに真実の
光に照らし出されたからなのです。ご開山親鸞聖人は、そのことを
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浄土真宗に帰すれども 真実の心は ありがたし
虚仮不実のわが身にて 清浄の心もさらになし （正像末和讃）
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と言われていますように 「私」というのは、浄土真宗の教えを信じているけれども 真実の心は
なく、うそいつわりの 我が身であって 清浄の心もさらにないという、お恥ずかしいニセモノの
私であります。そのことを阿弥陀さまは、 仏かねてしろしめしてと ちゃんとはじめから見抜い
て だからこそ 大悲のお心で救わずにおれないと阿弥陀さまのほうから 今ここで私に願いをか
けくださっている働きかけくださっているのです。その御恩報謝のお念仏を朋に申しながら日暮ら
しをさせていただきましょう。