平成２６年３月

　　　けもの道に迷い込む私

　　　先日テレビを見ていましたら世界遺産登録されました富士山が映っていました。維持管理をしていく
　　　為に今年から入山料もかかるということですが、山には、「けもの道」というのがあるといいます。
　　　「けもの道」は、文字通り、けものだけが通る道で人の歩く道ではありません。その道に迷い込むと
　　　なかなか出ることはできません。この「けもの道」が私たちの人生の中にもあるのではないでしょうか。
　　　その「けもの道」に踏み込みながら、そのことにも気づかないで、ますます深みに迷い込んでいるので
　　　す。迷いを迷いと思わず逆に、迷っていないと思い込む浅はかさであります。もっと言いますと自分は
　　　間違いないと「愚か」なくせに「愚か」を知らないばかりか「賢い」とさえ思い上がっている「愚か」
　　　さであります。しまいには「私の人生こんなはずじゃなかった」と腹を立てみたり愚痴を言ってみたり、
　　　過ちをくりかえしている「私」であります。親鸞聖人の　ご和讃の中に
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　　　　如来の作願（さがん）をたづぬれば　苦悩の有情（うじょう）を捨てずして　
　　　　回向（えこう）を首（しゅ＝第１）としたまひて　　大悲心をば成就せり　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（正像末和讃）
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　　　とありますように阿弥陀さまの願いは、 あさましい自己中心の煩悩をかかえて、けもの道に迷い、苦し
　　　み悩むこの「私」を見捨てておけない、放っておけない、救わずにおれないと 阿弥陀さまの方から立ち
　　　上がって 慈悲のお心で呼び覚まして下さっている阿弥陀さまの本来の願いが、南無阿弥陀仏の六字の
　　　名号となって、今ここで私に至り届きはたらいて下さっているのです。そのご恩に感謝の　お念仏を申
　　　させていただく中に　この人生を強く明るく生き抜かせていただくのです。合掌　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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