平成２５年５月
他力の金剛心
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信心すなわち一心なり 一心すなわち金剛心
金剛心は菩提心 この心すなわち他力なり （高僧和讃）
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と、ご開山親鸞聖人は、阿弥陀さまの他力の信心が堅くてこわれない強い金剛心にたとえて、
申されました。こういう話しがあります。昔、奈良の東大寺に智光（ちこう）さんと頼光
（らいこう）さんという仲のよい２人のお坊さんがいました。ある日、智光さんが部屋で読書
をしていると、お庭で何やら変な音がするので、外に出てみますと頼光さんが一生懸命に瓦
を研（と）いでいたのです。智光さんが「何をしているのですか？」と聞くと「瓦を研いで
刃物をつくっているのです」と頼光さんが言いました。それを聞いた智光さんは、心の中で
《私は今一生懸命に仏道修行にはげんでいるが、私もあの瓦のようなものではないだろうか。
瓦はいくら研いでも刃物にはなれない。鉄ならばたたいてみがいて研いだら立派な刃物にな
るのだが。瓦と同じように修行に励んでも、何一つ善根できない悪業煩悩の土でかたまった
私がさとりなどひらくことができようか》と思って「頼光さん、瓦同様の私が、救われる道
はないだろうか」と聞くと頼光さんは立ち上がって「私も実はそう思っていたのです。自力
の教えは、難行です。他力の教えは悪業煩悩をかかえる私が阿弥陀さまの他力の菩提心で救
われることを聞きました」と言って２人は、これまでの修行をふみ台にして、阿弥陀さまの
本願他力の門に帰依されたのです。阿弥陀さまは、悪業煩悩をかかえて苦悩しているこの私
をすでに見抜き、大悲のお心で今ここで、私一人の為にさずけくださる他力のご信心こそが
何があってもこわれない、やぶれない、かたむかない、みだれることのない金剛心なのであ
ります。朋にご恩報謝のお念仏を申しましょう。