平成２５年４月
苦悩の有情を捨てずして
先月（３月）、北日本を襲った暴風雪は、北海道でも猛威を振るい、多くの死傷者がでました。北 海道湧別町では、父親が小学生の娘さんをクルマで迎えに行き、家に帰る途中、視界の悪い猛吹雪の 中で吹き溜まりに突っ込んでしまい、動けなくなってしまいました。親子は意を決し、近くの民家に 救助を求めようとクルマを捨てたのでした。
しかし猛吹雪の為にホワイトアウト（白い闇）でまわりが見えません。方向が分からず迷って、クル マから３００ｍ程離れた倉庫の前で、たとえ、我が身は、どうなろうとも我が子を命懸けで守ろうと 娘さんに自分が着ていたジャンパーを着せ、娘さんを抱きかかえたまま、とうとう力尽きて凍死した のです。しかしながら父親に守られていた娘さんは、父親の助かってくれよという願いと働きによっ て助かったのです。闇のなかでは見えない悲しさ。同様に真っ暗闇の無明煩悩を抱えていながら、そ の闇の中でさ迷っているこの「私」を親様である阿弥陀さまは、ちゃんと見抜いて、だからこそどう あっても見捨てるわけにはいかない救わずにおれないと慈悲のお心で、今ここで私に働き詰めに働い て下さっているのです。ご開山親鸞聖人の ご和讃（正像末和讃）の中に
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如来の作願（さがん）をたづぬれば 苦悩の有情（うじょう）を捨てずして
回向（えこう）を首（しゅ＝第１）としたまひて 大悲心をば成就せり
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とありますように阿弥陀さまの願いは、 煩悩の闇のなかでを苦しみ悩むこの「私」を捨てておけな い、放っておけない、救わずにおれないと 阿弥陀さまの方から立ち上がって 慈悲のお心で呼び覚ま して下さっている阿弥陀さまの本来の願いが、南無阿弥陀仏の六字の名号となって、至り届き今ここ で私にはたらいて下さっているのです。そのご恩に朋に感謝のお念仏を申させていただきながら こ の人生を強く明るく生き抜かせていただきましょう。合掌