平成２５年３月
無明の闇をてらす阿弥陀さま
『愛のコリーダ』や『戦場のメリークリスマス』の映画監督で有名な大島渚さんが今年１月１５日 に亡くなりました。その大島 渚さんの気に入っている言葉に「深海に生きる魚族のように、自らが燃 えなければ 何処にも光はない」（詩人明石海人さんの言葉）があります。《それは暗い深海に生きる 魚族、眼が見えるのか見えないのか、その中をいずこへとなく泳いでいる。光はどこから発しているの かわからないが、おそらく魚体のどこからか発していて、そんな光だけが、その魚の命なのだ。その魚 のように生きていこう》と言われました。きっと大島 渚さんは、暗闇の世の中に光を発するが如く映 画を通じて命のメッセージを送られたのかもしれません。私たちは、深海魚のように自ら光を発するこ とは出来ません。眼は、借光眼と言って光に遇わなければ、暗闇のなかではまったく何も見えないので す。暗闇を仏教の言葉では「無明」（むみょう）といって、何も見えない暗さだけではなくて、逆に明 るいとすら思い上がっている暗さなのです。もっというならば、「愚か」なくせに「愚か」を知らない ばかりか、自分は正しい賢いとさえ思い上がっている愚かさなのです。その私を阿弥陀さまは、すでに 見抜いてだからこそ、見捨てずにおけない、救わずにおれないと無碍光の光となってはたらいてくださ るのです。ご開山親鸞聖人は
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尽十方の無碍光は 無明の闇をてらしつつ
一念歓喜するひとを かならず滅度にいたらしむ（高僧和讃）
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とおっしゃいました。阿弥陀さまの光は私たちの闇を照らして、疑いなく、往生することをよろこぶ人 を必ずさとりの世界に至らせるために今ここで私一人が為に働いてくださるそのご恩に感謝のお念仏を 申しながら朋に日暮らしをさせて頂きましょう。