平成２５年２月
愚痴がお礼の言葉に
先月、地元は、連日の大雪で、除雪が追いつかない状態が続きました。お参りで車を運転してい てもメインの本町通りは、かろうじて通れましたが、中通りに入ると、道幅が狭く、通行が困難にな りました。私は「なぜ、もっと広く除雪してくれないんだ。安心して通れないじゃないか」と自然と 腹を立て愚痴を言いながら運転しているのです。でも、そういう私の車を見つけた対向車は、はるか 遠いところに止まっているのです。なぜかというとお互い車を交わすことができない道幅であること を対向車の方が、先に気づいて、私の為にわざわざスペースがあるところに車を移動し、私の車が通 りすぎるまで待っていてくれたのです。もしかしたら仕事で忙しいかもしれません。待つのは、車ば かりではありません。歩行者も道路を歩いていたのに、わざわざ雪の積もっている歩道にまで行って 私の車が通りすぎるまで待っていてくれたのです。その時に今まで腹を立て愚痴を言いながら運転し
ていた私が、そのまんまで対向車に、歩行者に自然と頭を下げながら《有難うございます》とお礼の
言葉に変わっていたのです。雪の無い日では、全く考えられないことです。行く手をさえぎる大雪の
障害だからこそのご縁でした。ご開山親鸞聖人は
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「念仏者は、無碍（むげ）の一道なり」《歎異抄》
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《＝念仏者は、何ものにもさまたげられないただひとすじの道を歩む》と仰せられました。この私の
人生にも同じように様々な障害があります。その障害に出あった時「なぜ、こんな苦しい悲しい目に
あうのだろうと文句ばかり、愚痴ばかり、泣き言ばかり、碍りだらけ（有碍）の煩悩をかかえた私が
阿弥陀さまの無碍光に出遇うとき、煩悩の「碍り」がなくなるのではなくて、「有碍」がそのまま
「無碍」にかわっていくのです。阿弥陀さまは、私の煩悩の「碍り」をよすがとしてだからこそ見捨て
ることはできない救わずにおれないと大悲のお心で今ここで私に働きかけくださっているのです。
そのご恩に《おかげさまでした。ありがとうございます》と報恩感謝のお念仏を申しながら朋に日暮
らしをさせていただきましょう。