平成２５年１０月
「青色青光」は、私のまんまで輝くこと
先日、８０才の名優、仲代達矢さんがテレビのインタビューで「私は、役者生活６０年になりますが、
どんなに演じても他には、なれないこと、自分にあるものを出すしかないことを今になって気づきま
した」と言われました。私は、その言葉を聞いて童話で「王さまと乞食」という話を思い出しました。
こういうお話です。王さまは「王さまの座にいることは窮屈でならない。毎日がおもしろくない」そん
なある日、外にでかけ道ばたにネコと昼寝をしている乞食を見て、うらやましくなり、王さまは「わし
と立場を交換してもらいたい」と話して、お互いに着ているものを交換しました。幸い背格好も顔も似
ていたので、相手とそっくりになることができました、乞食になった王さまは、最初ネコといっしょに
乞食生活を楽しみました。しかしそのうちに一文なしの王さまは、食べ物を買うお金もありません。そ
のため、「ああ、乞食で生きていくのも大変だな。王さまに戻りたい」と思いました。また王さまにな
った乞食も「ごちそうをおなかいっぱい食べられても 窮屈で大変だ。やはり乞食にもどりたい」と
後悔したというお話です。《隣の芝生は青く見える》ものですが、その人になろうとすると実際大変な
ことが多いという話なのです。他にはなれない私の本当の姿に気づかせていただく事が大切なのです。
「佛説阿弥陀経」のお経の中に
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池のなかの蓮華は、大きさ車輪のごとし。青色には青光、黄色には黄光、赤色には赤光、
白色には白光ありて、微妙香潔(みみょうこうけつ)なり (註釈版)
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と出てきます。「極楽の池の中には車輪ほどもあるような大きさの蓮の花が咲いている。青い色の花に
は青い光を放ち、黄色の花には黄色い光、赤い花には赤い光、白い花には白い光を放ち、それらはいず
れもその色ですばらしく美しく輝くのです」 と続きます。私が他にはなることはできないけれど、阿 弥陀さまの光に出遇い、私自身に気づき、私のまんまで、ひかり輝く人生をおくらせていただくことな のです。朋に感謝のお念仏を申しながら日暮らしをいたしましょう。