平成２４年 ６月
清九郎さんが助かる阿弥陀さまのお救い
昔妙好人である大和の清九郎さんのところに友人がたずねました。その友人は旅の帰り道、囚人が 死刑にあうところを見てきたのです。「清九郎さん、あんたはいつも、阿弥陀さまは、悪人をめあ てにお救い下さると喜んでおいでだが、あんな悪人でも助かるのかい」というと清九郎さんは、
「助からいでか、助からいでか、こんな清九郎が助かるんじゃもの」と目にいっぱいの涙をためてお 念仏なさったということです。清九郎さんにしてみれば、悪人とは誰のことでもない、この私の為
にある言葉なのなのです。涅槃経というお経のなかに
【たとえば一人にして七子あらん、この七子の中に一子病にあえば、父母の心平等ならざるに非ざ
れども、然も病子に於て心則ち偏に重きが如し。大王、如来も亦爾(しか)なり。諸々の衆生に於て平 等ならざるに非ざれども、しかも罪の者に於て心則ち偏に重し】
とあるように親は７人の子に平等心ではあるけれど、病気の１子がいたら病気の１子に特に心を重く おくのと同様に如来さまも分けへだてない平等心だけれども特に罪の者を見捨てるわけにはいかない 、救わんが為に心を重くおくのです。ご開山親鸞聖人は
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如来の作願（さがん）をたづぬれば 苦悩の有情を捨てずして
回向（えこう）を首（しゅ＝第１）としたまひて
大悲心をば成就せり （正像末和讃）
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と申されているように阿弥陀さまの願いは、 あさましい自己中心の煩悩をかかえて苦しみ悩むこの 「私」を捨てておけない、放っておけない、救わずにおれないと 阿弥陀さまの方から立ち上がって 慈悲のお心で呼び覚まして下さっている阿弥陀さまの本来の願いが、南無阿弥陀仏の六字の名号と
なって、至り届き今ここで私にはたらいて下さっているのです。そのご恩に感謝の お念仏を申さ
せていただきながら朋にこの人生を強く明るく生き抜かせていただきましょう。