平成２３年 ７月
浄土真宗にも利益があります
親鸞聖人は、現生に十種の利益あって、その一つに転悪成善の益があると申されました。これは、
南無阿弥陀仏の名号の功徳によって、私たちの悪業煩悩が転ぜられて善にさせていただくということで す。さて、妙好人で知られています石見（いわみ）の善太郎さんは、念仏を喜んだありがたい人でした 。ある日、いつものように山にでかけた善太郎さんは、仕事を終えて、へとへとに疲れて我が家に帰り ました。ところが、どうしたことでしょう。奥さんは、お湯をわかすどころか、夕飯のしたくもまった くしていませんでした。いつもは、お念仏を喜ぶ善太郎さんが、疲れとおなかが減ったために奥さんを しかりました。すると奥さんも口ごたえしたので、カッと腹が立った善太郎さんは、近くにあった木を ひろって、なぐりつけようとしたその時に思わず〈ナンマンダブツ！〉のお念仏がこぼれたのです。 するとはっと我に返った善太郎さんは、すぐに奥の座敷に行き、仏前におあかりをつけて合掌し「ああ 、また悪業煩悩の善太郎がでてきました。何とおはずかしいことです」と自らをかえりみられたのです 。「正信偈」の意訳には
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煩悩(なやみ)を断(た)たで 涅槃(すくい)あり
水のうしおと なるがごと 凡夫とひじり 一味なり
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とありますようにこの私自身のはからいによって、煩悩を断じて悟りをひらくのではなくて、今ここで
私一人がために阿弥陀さまの本願力のはたらきによって悪業煩悩をかかえたまんまで善と転ぜられて
いくのであります。そのご恩に朋に感謝のお念仏申しながら日暮らしをいたしましょう。