平成２２年７月

　　　癇癪（かんしゃく）玉をご縁として

　　　　みなさん、けんか（喧嘩）をしたことありますか？夫婦喧嘩、親子喧嘩、兄弟喧嘩、友人等々、しょっ
　　　　　ちゅうありますよね。
　　　　　人とけんかをした時、今でこそ「キレる」と言う言葉を使いますが、以前は「癇癪（かんしゃく）を起
　　　　　こす」とか「癇癪玉を破裂させる」とか、言いました。もちろん今でも使っているかたもたくさんいます。
　　　　　昔、お念仏を喜ぶ妙好人の源左さんにある人が、「源左さん、私は、癇癪性でやぁ困っています」と言うと
　　　　　源左さんは「あんたは、ええものを持ってますな。癇癪は癇癪玉ちゅうて、玉ちゅうものは、宝ですけえな。
　　　　　めったに人に見せなはんすなよ」と言われました。《さるべき業縁のもよおさば》癇癪を起こす私を阿弥陀
　　　　　さまはお目当てとして働きかけてくださる、癇癪が邪魔になるどころか、阿弥陀さまのはたらくよすがの
　　　　　手がかりの玉となってくださると味わっていらっしゃるのです。ご開山親鸞聖人は

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　　　　　仏かねてしろしめして、煩悩具足の凡夫と仰せられたることなれば、他力の悲願はかくのごとし、
　　　　　われらが為なりけりとしられて、いよいよたのもしくおぼゆるなり　　　　　　　（歎異抄）
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　　　　　とおっしゃったように阿弥陀さまは、この私をどうにもならない癇癪を起こす煩悩具足の凡夫と　はじめ
　　　　　からすでに見抜いて、だからこそ救わずにおれないと今ここで私にかかりはて「念仏申す」ご縁として働き
　　　　　づめに働いてくださるのです。そのことにきづかされ、御恩報謝のお念仏を申しながら朋に日暮をいたしま
　　　　　しょう。

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