平成２２年６月
お念仏の人生はひとりぼっちではありません
ご開山親鸞聖人は、［まことあることなきに、ただ念仏のみぞまこと］と申されました。
まことなき世界のままに「ただ念仏のみぞまこと」と阿弥陀さまのお慈悲を仰いでお念仏
とともに生きぬかれた聖人であります。まことなき世界は、まるで「きつね」と「たぬき」
のだまし合いです。だましたりだまされたり、うらぎったりうらぎられたり、自己中心の
ひとりぼっちの世界です。でもお念仏の人生はけっしてひとりぼっちではありません。
ご開山親鸞聖人は、
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十方微塵世界の 念仏の衆生をみそなわし
摂取してすてざれば 阿弥陀となづけたてまつる（浄土和讃）
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とお念仏称える私には、すでにいつでもどこでも今ここにでもいらっしゃる阿弥陀さま
なのです。ある本にお父さんを事故で亡くされたある交通遺児の作文が書かれていまし
た。『おれは、もうすぐ１８歳、俺、今、受験生。心配かけたなお母さん。おれ、この
ごろやっとわかってきた気がする。お母さん、やさしすぎたんだ。おやじのある家庭に
負けないように思ってよくおれを遊びに連れていってくれた。でもそのくせお母さんは、
いつもボロ着てたし、食べるものも ろくに食べないで、ものすごく働いていた。あり
がとうお母さん。本当にありがとう。おれ、自分のためにもお母さんのためにも絶対に
がんばる。そして大学に受かって、大学出たら、必ず孝行するから』
このお母さんが、時には独り台所の片すみで流した涙の苦労を、この子は知らないはず
がありません。
親鸞聖人は、［子の母をおもうがごとくにて 衆生仏を憶すれば・・・（浄土和讃）］
と申されました。
子どもが母親を慕うようにお念仏すればよいのですとおっしゃいました。お念仏申す中
に決してひとりぼっちではなくて、いつでも、どこでも親さまと二人づれと知らして
もらえるのです。そしてそこには親鸞聖人もいっしょに喜んでいらっしゃるのです。
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一人いて喜ばば二人と思うべし、二人いて喜ばば三人と思うべし、その一人は親鸞なり
（御臨末御書）
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朋にお念仏申しながら日暮らしをさせていただきましょう。