平成１９年９月
十方衆生は、一人も 漏らさず救う阿弥陀さまのお呼び声
浄土真宗の大事なお経のひとつ※「仏説無量寿経（ぶっせつむりょうじゅきょう）」の四十八願
の十八願に「設我得佛（せつがとくぶつ） 十方衆生（じっぽうしゅじょう）・・・・」とあり
ます。「設我得佛」は、一口で言うと阿弥陀さまのことです。「十方衆生」は、一人も 漏らさ
ないということですから、阿弥陀さまは、一人も もらさずに救うと呼びかけくださっているこ
となのです。この十方衆生ということで、お念仏をよろこんだ妙好人の一人である讃岐（香川県）
の庄松（しょうま）さんのお話があります。庄松さんは、道を歩いていた時、ちょうど道ばたに
一匹の犬が昼寝をしていました。すると庄松さんは、犬に向かって両手を合わせて拝んだのです。
するとそこにいたお同行が、その姿を見て「庄松さん、いったい何愚かなことをしているんだ。
犬に向かって拝むなんて」と言うと庄松さんは「あなたこそ、何をふだんから聞いていらっしゃ
る。私は、犬を拝んだのではない。この犬もほとけの子。つまり阿弥陀さまの十方衆生とおっし
ゃるお慈悲の中の衆生なのです。その阿弥陀さまの願いをかけられた深いお慈悲を私は拝んでい
るのです」とおっしゃったのです。その言葉にお同行も気づかされ、いっしょに拝まれたそうで
す。木村 無相さんの念仏詩抄の中に「わたしをつつむ ナモアミダブツ みんなつつんで
ナモアミダブツ」とあるようにまさに十方衆生と呼びかけてくださる阿弥陀さまの願いの中に
お慈悲の中に一人ももらさず、つつまれている「私」なのです。ご開山親鸞聖人も
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□十方微塵世界の 念仏の衆生をみそなわし
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□摂取してすてざれば 阿弥陀となづけたてまつる □
□ （浄土和讃）
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とおっしゃったように救わずにおれないとお慈悲の心で今ここで私に「十方衆生よ」と呼びかけ
てくださる阿弥陀さまのご恩に感謝のお念仏を申させて頂きながら日暮をさせていただきましょう。
※「仏説無量寿経」・・・「大無量寿経」とよばれ、「大経」とも言われ、阿弥陀仏の本願を説く
浄土真宗の根本の経典。