平成１８年２月

　 　 偽装マンションと偽装人間の私

　　　 最近、世の中で憤激を巻き起こしている偽装マンションやホテル。ちょっと見たところ建物の
　　　表面上は、他と何ら変わらないように見えますが、ある方が「今の世の中は、魚から家にいた
　　　るまで、骨抜きで売られていますね」と言った通り、今まで気がつかなかった知らされていな
　　　かった内部はまさに鉄筋を少なくしたり曲げられたり切断されている隙間だらけの偽装マンシ
　　　ョンが、次から次へと発覚したのです。当事者によって闇の中で仕立てた偽装マンションは、
　　　住人の方々を不安にし迷わせ命を脅かしているのです。偽装マンションと同様にこの「私自身」
　　　をかえりみると、「偽装人間」そのものであります。ご開山親鸞聖人様は、「正像末和讃（し
　　　ょうぞうまつわさん）」の中で
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　　　□外儀（げぎ）のすがたはひとごとに　賢善精進（けんぜんしょうじん）現ぜしむ　□
　　　□　貧瞋邪偽（とんじんじゃぎ）おほきゆえ　※奸詐（かんさ）ももはし身にみてり□
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　　　※奸詐・・・いつわり、だますこと　　※ももはし・・・数が多いこと
　　　とありますように誰しも外面の姿は、賢い人のように善い人のように精進しているように見せ
　　　ていますが、心は、貪欲瞋恚（とんよくしんに）と邪偽が多くて人を誑（たぶら）かすような
　　　心が身に満ちているとおっしゃいました。さらに同和讃で
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　　　◇虚仮不実（こけふじつ）のわが身にて　　清浄の心もさらになし◇
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　　　と「偽装人間の私」は、まさしく「虚仮不実のわが身」そのものなのです。うそいつわりだら
　　　けで、不実＝実が無いということは、らっきょのように皮ばっかりですね。私たちの顔のよう
　　　なものではないでしょうか。
　　　＜【一皮むけば　つらの皮　二皮むけば　うその皮　三皮むけば　化けの皮】＞
　　　皮ばっかりで実のない「偽装人間の私」を「偽装人間」と「虚仮不実」を「虚仮不実」だと私
　　　自身では気がつかなかったことを知らせて頂くのが阿弥陀さまの真実に出遇うことなのです。
　　　しかも阿弥陀さまは「仏かねて知ろしめして」とそのことを最初からお見抜きになってだから
　　　こそ救わずにおれないと慈悲のお心で今ここでこの「私」に働きかけくださっているのです。
　　　そのことに気づかされた時、御恩報謝のお念仏を申させて頂くことであります。

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