平成１７年８月

　 　 緑の防波堤と念仏の防波堤

　　　　　以前、新聞には、「緑の防波堤」という記事が掲載されていました。昨年（平成１６年）の
　　　　スマトラ沖大地震で人々の生死を分けた一つにマングローブ（サンゴ礁）というのがありま
　　　　す。地震の震源地に近い島々に大津波がくるんですが、このマングローブで津波の勢いを弱
　　　　めて波にのみこまれずに救われた地域があるんですね。逆に開発ということで、サンゴ礁を
　　　　伐採し自然を破壊したところは、大きな被害、多数の犠牲者が出たのです。言うなれば、マ
　　　　ングローブは、大津波から　いのちをまもる「緑の防波堤」だったのです。
　　　　現世利益和讃に、

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　　　　□「南无阿弥陀仏を称おれば　 十方無量の諸仏は 　□
　　　　□　百重千重囲繞して　よろこびまもりたまふなり」□
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　　　　とありますように　わたしたちが阿弥陀さまの　ご本願を信じてお念仏を称えるというこ
　　　　とは、阿弥陀さまの本願にかない、十方の諸仏は、念仏の行者を幾重にもとりかこんで煩
　　　　悩の大津波にのみこまれっぱなしの「私」を護ってくださるのです。高僧和讃に

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　　　　□「生死の苦海ほとりなし　ひさしく沈める我らをば 　　 □
　　　　□　弥陀弘誓の舟のみぞ　のせてかならず　わたしける」 □
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　　　　とあります。マングローブが緑の防波堤であるように阿弥陀さまのほうから　この「私」
　　　　を救ってくださる「念仏の防波堤」は、生死迷いの苦海で大きな煩悩の波に　のまれっぱ
　　　　なしの「私」沈みっぱなしの「私」を　最初から見抜かれて、だからこそ救わずにおれな
　　　　いと　この「私そのまんま」を　お目当てとして今ここで私に「念仏の防波堤」となって　
　　　　働きかけ下さっている願いをかけ下さっている私のいのちの根っこを支えて下さっている
　　　　のです。その御恩に報謝のお念仏を申させて頂くことであります。

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