平成１5年３月
地球には重力、私には阿弥陀さまの他力
２月１日アメリカスペースシャトル「コロンビア」が、１６日間の飛行を経て
大気圏突入の再、爆発し分裂しながら
墜落し乗組員７人全員が亡くなるとい
う痛ましい事故がおきました。さてスペースシャトル内が映しだされる時、
乗組員や物などが、浮いたままになっている無重力の様子をよく見ます。地球
には重力がはたらいていますが、大気圏の外に出ると重力の力がはたらかない
無重力になるのです。もしこの地球が無重力だったら どうなるでしょうか？
ひとたび飛び上がったら体が空中に浮いたまま逆さまになったりして地面に戻
ることさえできなくなったり しっかり歩くことさえおぼつかない不安定なま
までいるかもしれません。しかし地球には私の目に見えなくても間違いなく重
力の力がはたらいているからこそ地面にしっかり立ち、歩き、安心して生活で
きるのです。いのちの詩人と呼ばれる相田みつをさんの言葉の中に
「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根はみえないんだな」
とありますように 根っこは、重力と同じように直接的には見ることはできま
せんが、見えない根本のところで花を支え、枝を支え、幹を支えているのです。
ご開山親鸞聖人は
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「他力というは、如来の本願力なり」
（教行信証、行の巻）
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と申されたようにこの世に 生まれてから臨終に至るまで、煩悩が留まらず消
えず絶えずの「私」、つかむ力もなく、握る力もなく、迷いの世界に沈むより
ほかにないこの「私」であればこそ、あみだ様は、慈悲のお心で「どんなこと
があっても おまえを見捨てることができない」という願いのありったけを、
南無阿弥陀仏の六字の名号（みょうごう）に凝縮して今ここにでも至り届けて
くださっているはたらきが他力なのです。煩悩をかかえたこの私の目には見え
ないけれど私一人の為にあみだ様は他力という力で今ここで私を支えて下さる
のです。地球には重力、私には、阿弥陀さまの他力。その阿弥陀さまのご恩に
私は「おかげさまでした。ありがとうございます」と報恩感謝のお念仏をとな
えつつ、この人生をともに強く明るく生き抜かせていただきましょう。