平成１４年９月

　　　「セミの鳴き声、阿弥陀さまのお呼び声」

　　　　みなさんは今年の夏、セミの鳴き声を聞きましたか？ 昆虫学者ファーブル は、「セミには 音は聞こえ
　　　　ない。ただ暑くて気持ちがいいから、鳴いている」と言いましたが、本当はそうではなくて腹部に立派
　　　　な耳があることが分かり、その耳は人間の声や大砲の音は、聞こえないのにセミたちの声だけを聞く
　　　　仕組みになっているということが書かれていました。セミの雄はただ一心 不乱に雌を呼んでいる鳴き声
　　　　なのです。そしてその声をそのまんまで聞いているのです。
　　　　同様にあみだ様は、ただ一心に「私」のためにお呼びかけ下さっているのです。ご開山親鸞聖人は、
　　　　「南無阿弥陀仏」の六字を「本願招喚（ほんがんしょうかん）の勅命（ちょくめい）なり。・・・」
　　　　とおっしゃっています。私がお念仏を申すということは、私が称えるのでありますけれども称えられる
　　　「ナモアミダブツ」そのまんまが阿弥陀さまであり阿弥陀さまの　お呼び声でもあったのです。「私」が
　　　　お念仏称えれば　そのお呼び声が聞こえます。山本仏骨和上さんのおっしゃったことば
　　　「一声一声（ひとこえひとこえ）のお念仏のなかに仏がおられ　私を呼んでおってくださる」
　　　　とあります。煩悩具足で、がんじがらめのしがらみの中にあって、苦しみをもち、悲しみをもち、悩み
　　　　をもち、涙していかなければならない「私」のために限りなき願いをかけて「そういうおまえを捨てて
　　　　はおけない。救わずにおれないのだ。どうかわが名を呼んでおくれよ。わが名を聞いておくれよ。」と
　　　　いつでもどこでも今ここにでもいらっしゃって「私」のために　一心に「なもあみだぶつ」とお呼びか
　　　　け下さっているのです。どうぞいっしょにお念仏申しながら阿弥陀さまの救いの声であるお呼び声を聞
　　　　かせていただきましょう。

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