平成１４年５月
「春の風物に黄砂？私は春も念仏に遇うさ」
春の風物といえば、桜、うぐいす等思い浮かびます。今年は記録的に桜前線も早く、春を告げるうぐいす
が鳴き始めました。しかしさくらがさいたから春になるのではなく、うぐいすがないたから春になるので
はなくて、目には見えない 春の「ぬくもり」のはたらきが、すでにその前に はたらいていたからなん
です。とくに今年は、春の風物？として
中国から春の使者「黄砂」が、日本にやってきました。空がかす
み、建物、車などほこりまみれにし大変なことでしたが、また三千キロの旅を続けてぬくもりに加え「風」
のはたらきで、よくここまで届いたものと自然の不可思議なはたらきに驚かずにはいられません。
「風」ということで、 大江淳誠さんの言葉に
《風は見えないけれど、風の姿は なびく草の上に見える》
とおっしゃっています。風そのものは、私たちの目では、見ることが出来ません。でも その風のはたらき
が、大地に根をはっている草をなびかせるのです。冥加（みょうが）という言葉がありますが、冥は目に見
えない、加とは力が加わるということですから、風のように私の目にみえないところで、はかりしれない力
が加わっている、疑いなく はたらいていることに気づかされるのです。
同様に
阿弥陀さまの おはたらきは、この凡夫の「私」の目には見えないけれど、「私」の口から出ている
お念仏、そのお念仏の聞こえるまんまが、阿弥陀仏の はかりしれないおはたらきが、はたらいているしる
しなのです。阿弥陀さまは、「わかっているよ。わかっているよ」と「私」のどんなに深く重い煩悩をかか
えている ありべのまんまを見抜いて、その私に向かって、呼び声をかけ、阿弥陀さまの おはたらきで救
ってくださるお念仏にいつでもどこでも春も出遇わさせていただくのです。私たちは、そのおはたらきに気
づかされおかげさまでした、ありがとうございます、ナモアミダブツ、ナモアミダブツと ただご恩報謝の
お念仏を申すばかりです。