平成１４年４月

　　　　　　「私は煩悩の総合商社」

　　　３月の国会では、鈴木宗男さんの証人喚問で「うそつき、あなたは疑惑の総合商社だ」
　　　と追及していた 辻本清美さんが、今度は、政策秘書疑惑での記者会見で自分の発言に　
　　　うそ・いつわりのあることを認め、議員辞職されました。人のことを責めるのは、簡単
　　　なことです。しかし自分自身を責めることは、やさしいことではありません。それより
　　　もまず私自身が、うそ・いつわりだらけであることには、なかなか気づきません。
　　　あみだ様の　ご本願に出遇われた親鸞聖人は、自ら※「虚仮不実（こけふじつ）のわが
　　　身にて」と言われました。虚仮とは、うそ・いつわり、そして不実とは、実（み）がな
　　　い・真実でないことです。実がない、皮ばかりです。食べ物で言いますと「らっきょ」
　　　のようなものです。また私たちの顔のようなものですね。ひと皮むけば、つらの皮、ふ
　　　た皮むけば、うその皮、み皮むけば、化けの皮ですね。「私」自身の「不実」を「不実」
　　　と知らせてくれるのが、あみだ様の「真実」に出遇うことなのです。あみだ様の真実の
　　　光の前に見抜かれた私は、貪欲（とんよく・むさぼり）・瞋恚（しんに・いかり）・愚
　　　痴（ぐち・おろかさ）の三毒の煩悩をはじめとする煩悩総合商社のありべのまんまを　
　　　さらけ出し、苦しみ・悲しみ・悩みを持って涙していかなければならない私だからこそ、
　　　あみだ様は、救わずにおれない、見捨てずにはおけない慈悲のお心で私に働きづめに働
　　　いて下さっているのです。そのお慈悲を仰いで朋（とも）に「ナモアミダブツ・ナモア
　　　ミダブツ」とお念仏申させていただきましょう。

　　　※「虚仮不実のわが身にて」・・・・親鸞聖人が８５歳以降に書かれたご和讃です。その
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中の正像末和讃「悲歎述懐讃」（ひたんじゅっかい
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さん）１６首の１首です。和讃全文は以下の通りです。
　　《浄土真宗に帰（き）すれども　　　　真実の心（しん）は　ありがたし
　　虚仮不実のわが身にて　　　　清浄（しょうじょう）の心もさらになし》

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