平成１４年3月
「阿弥陀さまから私に本命のお念仏チョコレート」
僧侶の私が、今回はあえて方便としてこの話をさせて頂きます。２月１４日になると日本全国、
「バレンタインチョコレートだ」とにぎやかになります。私も１４日に ご門徒の家に月忌参りに
行った折り、すべてお仏壇にチョコレートがお供えしていました。最初、きづかなかったのですが、
ご主人が亡くなられた奥さんが、「ごえんさん！今日は、バレンタインだから、チョコレートお
供えしているんですよ」と言われました。
女性が男性にチョコレートを贈るのは、日本独自の習慣で東京都内のデパートのバレンタイン・
セールで、チョコレート業者が行ったキャンペーンが始まりだそうです。広島のある保育園では、
バレンタインプレゼントとして遠くからダンプでたくさんの雪が運ばれて園児たちは段ボール箱
で作ったそりで楽しく遊んだというニュースもありましたが、やはりチョコレートといえばバレ
ンタイン・デーの象徴のようになってしまいました。
このチョコレートは、お友達にわたす友チョコ、義理チョコ、本命チョコの３種類あって義理やら
本命やらと人気のバロメーターで分けられ、もらえる人もいればもらえない人もいるのです。
しかしながら阿弥陀さまのご本願は、分けへだてなく、しかも煩悩具足のこの「私」を友でも
義理でもなく「本命」として受け取っておくれよ、頂いておくれよと
阿弥陀さまから無限の願いの
ありったけを「南無阿弥陀仏」の六字チョコレートに凝縮して込めて仕上げて下さって今ここで私
に至り届けられているのです。それは、言うならば※摂取不捨（せっしゅふしゃ）のめぐみです。
しかもホワイトデーにお返し（返事）を願っていると同様に阿弥陀さまは、ホワイトデーどころか
いつでもどこでも今ここでも「私」の為に願って下さっている、および下さっている、働きかけ下
さっているのです。
私が、そのお念仏チョコレートを頂き阿弥陀さまの救わずにおれない慈悲のお心に気づかされて
そのお心を頂き、この「私」がありがとうございます、おかげさまでございましたとご恩報謝の
お返し・ご返事のお念仏を申させて頂く中にこの人生をお念仏とともに力強く生き抜かせて頂く
人生が開かれるのです。
親はよび 子はよびかえすナモアミダブツ よびつ よばれつ 白道の旅
※摂取不捨・・・阿弥陀如来が、念仏の行者をおさめ救いとって、しかも決して捨てないこと。