平成１４年１月
「ほんまもん」の念仏
朝のNHK連続テレビ小説「ほんまもん」が昨年平成１３年より放映されています。
ストーリーを御存知の方も大勢いらっしゃると思いますが、「ほんまもん」は、
主人公ヒロイン山中木葉（やまなかこのは）が、和歌山県・熊野地方で生まれ育ち、
父親ゆずりの天性の味覚を持ち、いかなる多くの困難を乗り越えて「ほんまもん」
の料理人になるドラマです。
「ほんまもん」とは、「本物」という意味の大阪ことばです。まさしく「本物」の
料理と「本物」の料理人ということを表現されたのですね。
では、人生の中において、この「私」にとっては、いったい何が「ほんまもん・本物」
なのでしょうか？
宗祖親鸞聖人が※「火宅無常の世界は、よろづのこと みなもってそらごとたわごと、
まことあることなきに」と言われましたように この世は燃えさかる家のように た
ちまちに移り変わる世界であって、すべてはむなしくにせもんばかりで、真実といえ
るものは何ひとつないのですと言われました。
にせもんだらけ、ほんまもんがない。むしろ「にせもん（偽物）」ばっかりが、蔓延
（はびこ）って「にせもん」であることすら気づかずに その「にせもん」に振り回
されて「私自身」現を抜かして虚しく過ごしているのです。
しかし親鸞聖人は、そのあとにこう言われました。※「ただ念仏のみぞまことにてお
わします」と。阿弥陀如来さまから頂いた「南無阿弥陀仏」のお念仏のみが真実まこ
と・ほんまもんですよとおっしゃっています。なぜかって？それは、阿弥陀如来さま
は、真実の世界より来られた真実まこと・ほんまもんの仏さまであり、このほんまも
んの仏さまが仕上げて下さり、この「私」のために働いて下さる六字の名号（＝南無
阿弥陀仏ナモアミダブツ）だからです。この阿弥陀さまから頂いたほんまもんのお念仏
を申しながら今年も強く明るく生き抜きましょう。
※両方ともに歎異抄（たんにしょう）後序の御文。