平成１３年９月
阿弥陀さまの熟慮されたご本願
先月、８月１５日の終戦記念日に小泉首相が靖国神社参拝をするかどうかが注
目されました。首相が参拝することも含めて靖国に関しては、いろいろと大き
な問題を抱えています。その点についてはあえて言及しませんが、歴史的背
景、また宗教的観点から靖国についての問題を考える機会にはなったと思いま
す。小泉首相は「熟慮に熟慮を重ね・・」と言われ国の内外の賛否両論を勘案
しながら結果的には、１５日を避けて１３日に参拝されたようです。「熟慮」
は、「よくよく考えること」、しかしながらどんなに「熟慮」されても私達人
間の考えること、あちらが立てばこちらが立たずで、批判も多く到底すべての
方に受け入れられたものではなかったということは、否めません。浄土真宗の
ご本尊である阿弥陀さまのご本願は、※正信偈［しょうしんげ］の「※五劫思
惟之摂受」［ごこうしゆいししょうじゅ］とありますようにもともと法蔵菩薩
（ほうぞうぼさつ）がそれこそ「五劫という私たちには想像もつかない程の長
い間、熟慮に熟慮を重ねて凡人も聖人も善人も悪人もすべて分けへだてなく苦
悩から救われていくこの上なきすぐれた根本の願いを起こし、さらにとてつも
ない時を費やして修行し願を成就されて阿弥陀さまとなられて、今ここで私を
救う為に働いて下さっているのです。」私たちは、その御恩感謝のお念仏を申す
ばかりです。
※正信偈・・・宗祖親鸞聖人が、著述された「教行信証」の「行巻」の最後に
あり、浄土真宗の真髄を簡潔にまとめた１２０句からなる偈
［うた］です。
※五劫 ・・・劫は、時間の単位です。一劫は、４０里四方の大きな岩の上に３
年に１度、天女が舞いおりてその着ている羽衣（はごろも）で岩
がこすると顕微鏡で見てもわからないほどの何ミクロンかが摩滅
してへってきます。この４０里四方の岩が摩擦（まさつ）ですべ
てなくなってしまうまでの期間が、一劫です。五劫はこの５倍です。