平成１３年４月
「浄土真宗は「死に体」ではなくて「生き抜き体」の教えです」
前回にハワイ沖の水産実習船「えひめ丸」の衝突事故の話を致しましたが、その時、森首相にも緊急連絡が
入ったのにもかかわらずゴルフをそのまま続けられたことが、ニュースに取り上げられていました。
そのこともあり支持率は下がり、今では、森首相内閣を「死に体内閣」と言われています。さらに言うこと
には、その「死に体」ということ自体、自覚していないと言われています。
あるテレビのトーク番組では、「こういう首相みたいなのは、どこにでもいるんですよね。うちの町内会の
会長さんもこうなんだ。」とか「まるで、自分をみているみたいで本当にいやになりますよ」と話していた
のを覚えています。
世間ではよく「人のふり見てわがふりなおせ」という言葉がありますが、森首相を通して私自身も同様にこ
の人生を「死に体」の自覚もないまま、欲望を益々膨らませ、あるいは「私は、こんなにしているのに ど
うして私だけがこんなつらい目に遇うんだろうか」等と愚痴や不平不満を言いながら、虚しく過ごしてはい
ないでしょうか？
ご開山親鸞聖人の和讃に
「本願力［ほんがんりき］にあひぬれば むなしくすぐるひとぞなき 功徳［くどく］の宝海［ほうかい］
みちみちて 煩悩の濁水［じょくすい］へだてなし」
とありますように浄土真宗の み教えに出遇って「死に体の本当の私」に気づかせていただき、その「死に
体の私｣を救わずにおれないという阿弥陀樣の御本願を信じお念仏を称えると、どうしようない「死に体の
私」が「強く明るく生き抜き体の私」になってゆく教えなんですね。御恩報謝のお念仏を申しながら日暮ら
しを続けさせていただきましょう。