平成１３年3月
「ハワイ海底に沈むえひめ丸と生死の迷いの海に沈む私」

　　２月１０日、ハワイ沖で起こったアメリカ原子力潜水艦にぶつかって

　　　沈んだ水産実習船えひめ丸は、もしかしたら中に閉じこめられているかも

　　　しれない９人の行方不明者とともに今もなお、暗やみの海底に沈んでいて

　　　引き上げは、いつになるのかわかりません。引き上げれるかどうかも

　　　わかりません。ただ、後から次々とでてくる報道は、訓練と

　　　言いながら民間人を乗せていたとか、その民間人に舵をにぎらせたとか

　　　問題点が出てきますと本当に衝撃を受け、やりきれない思いでいっぱいです。

　　「※生死（しょうじ）の苦海（くかい）※ほとりなし　ひさしく　しづめる　

　　　われらをば弥陀弘誓（みだぐぜい）の舟のみぞ　※のせて必ずわたしける」

　　　これは、親鸞聖人が作られたご和讃ですが、原子力潜水艦にぶつかって海底に

　　　沈んだえひめ丸と同様にこの「私」もまた自ら作る煩悩の潜水艦にぶつかって

　　　生死という迷いの世界に沈みっぱなしの私ですが、阿弥陀様は、やるせない思

　　　いでこの私を引き上げずにはおれない救わずにおれないと「弥陀弘誓」という

　　　ご本願の舟を造り上げて下さり、私を乗せて彼岸浄土の世界に届けて下さ

　　　るのです。そのご恩に感謝のお念仏を申すことであります。

　　※生死の苦海………四苦八苦（【しくはっく】四苦は、生【しょう】老病死で、

　　　八苦は、この四苦に愛別離苦【あいべつりく／愛するものと別れる苦しみ】

　　　怨憎会苦【おんぞうえく／憎むもの会わなければならない苦しみ】求不得苦

　　　【ぐふとっく】求めて得られない苦しみ五陰盛苦【ごおんじょうく／肉体の

　　　欲望からでてくる苦しみ】が充ちている苦海）

　　※ほとりなし………際限がないこと

　　※のせて………乗の字、のせるは、たとえで信じさせての意　

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