平成13年11月

浄土真宗は報復ではなくて報恩行です

                             

9月11日アメリカ同時多発テロが起こりました。ニューヨーク・マンハッタン
世界貿易センターのツインタワービルに旅客機が突っ込みビルが崩れ落ち、日本
人含む6000人以上の方が犠牲になりました。アメリカは、このテロは、アフ
ガニスタンのウサマ・ビンラディン氏とタリバン政権の仕業であるとして、1ヶ
月後、
「報復」攻撃を開始しました。今も繰り返す空爆等の攻撃で 今度はアフガ
ニスタンの 一般人の方が巻き込まれ、多数の犠牲者を出し続けています。
テロにしても報復攻撃にしても「殺生せっしょう」という いのちを奪う行為は、
いかなる理由があろうとも許されることではありません。ただ「人のふりみてわ
がふりなおせ」と言いますように私たちも日常において もし人から何かされたら、
あるいは屈辱を受けたということになったら「くそ〜あいつがいなければ」とむ
かむか腹が立って
「さるべき業縁(ごうえん)のもよおさば いかなるふるまい
もすべし」
とご開山親鸞聖人が言われたように「しかえしだ、復讐だ、 報復だ」
と言って縁によっては親子であろうと兄弟であろうと夫婦であろうと人に対して
どのような恐ろしいことをするかもわからない本性の「私」に気づかされます。
他人事ではありません。
蓮如上人は、「人の上ばかり見て、我が身の上のことを
嗜(たしな)まずば、一大事たるべき・・」
と言われました。この「たしなむ」
とは、「我が身を責める」ということです。人のことを責めるのは、簡単なこと
です。でも我が身自身を責めるのは、やさしいことではありません。どうしても
人の欠点ばかりを挙げ相手ばかりを責め立てる愚かな私。そういう愚かな私を阿
弥陀さまは、最初からお見抜きになって救わずにおれないと大悲のお心で今ここ
で働き詰めに働いて下さっているのです。
そのご恩に気づかせて頂いた今、「報復」しか考えることのしなかった愚かな「私」
が「そうでした。おかげさまでした。ありがとうございます。」と
ただただ報恩・
報恩・報恩感謝のお念仏を申させて頂く
中に強く明るく生き抜く人生が開かれるの
です。
浄土真宗は報復ではなくて報恩行です 。

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