平成１２年１２月

食中毒よりも　もっとおそろしい毒

毎年１２月になるとそろそろマスコミででてくるのが今年の１０大ニュースですね。
その中でおそらく出てくるニュースの１つに雪印集団食中毒事件があるでしょう。
本当に牛乳と言えば、すぐに「雪印」と思い浮かぶぐらい日常生活の中で消費して
いましたから・・・・・それだけに驚きましたよね。
雪印の一連のニュースで、こういうことが、記事として掲載されていました。
「過去、日本では、牛乳によるこの食中毒の集団発生は、４５年前に東京の学童
１９００人の発症例しかありません。原因は雪印の脱脂粉乳でした。その時、雪印
の社長は全社員に訓示しました。
【牛乳は細菌にも最高の栄養物。保存温度を誤ればたちまち無数に繁殖する】と
しかし雪印は同じ過ちを繰り返したのです。」という内容でした。
ある方がこんなことを言われたのを記憶しています。「同じ水でも牛が飲んだら
牛乳になりますが蛇やさそりが飲んだら毒を作り出すんです。」水というのを私
たちの人生におきかえますと私たちにあたえられた人生を牛乳という「さとり」
を開かせていただくかあるいは、煩悩（ぼんのう）の毒を身にあふれるほど作り
出している苦悩の人生かといいますと、この「私」は、煩悩の毒だらけの「私」、
もしかしたら、そのことすらも気づかずに雪印と同様、いやそれ以上におそろし
い煩悩の毒を無数に増殖させて「私の人生こんなはずじゃなかった」と腹を立て
てみたり愚痴を言ってみたり、過ちをくりかえしている「私」。
そういう苦しんだり悩んでいる私を阿弥陀さまは、「如来の作願（さがん）をた
づぬれば　苦悩の有情（うじょう）を捨てずして　回向（えこう）を首（しゅ）
としたまひて　大悲心（だいひしん）をば成就せり」という親鸞聖人のご和讃の
ように見捨てずにはおけない、救わずにおれないと煩悩の毒をかかえたまんまの
「私」に今ここで働きどうしのほとけさまなんです。
今年をふりかえるだけではなくて教えを鏡として「私」を常にふりかえりたいも
のですね。　　　　　　　　　　　戻る